1. 導入
クラウドコンピューティングが日々進化する中、多くの企業や個人が「クラウドサーバー」活用しています。そんな中でも特に人気があるのがAmazon EC2（Elastic Compute Cloud）です。
このサービスを利用すれば、物理サーバーを管理する必要がなく、柔軟に仮想サーバーを利用できるのが大きなメリットですが、初心者にとってはEC2という名前だけでは何をどう始めればいいのかがわかりにくいかもしれません。
この記事では、AWS（Amazon Web Services）の中でも特に重要なサービスであるAmazon EC2について、初心者にも理解しやすくその基礎から使い方までを解説していきます。EC2が提供する仮想サーバーのメリットを理解し、実際にクラウド環境を構築してみましょう。
2. Amazon EC2とは？
Amazon EC2は、AWSが提供する仮想サーバー（仮想マシン）のサービスであり、ユーザーが必要に応じて柔軟にコンピューティングリソースを確保できるのが特徴です。
物理的なサーバーを購入したり管理したりする必要がなく、AWSのクラウド上で必要な時に必要なだけリソースを利用できます。
- スケーラブル: 利用するリソース（CPU、メモリ、ストレージ）を自由に拡張・縮小できる。
- 従量課金制: 実際に使用した分だけ支払う料金体系で、コスト管理がしやすい。
- 多様なインスタンスタイプ: 一般的な計算に適した汎用インスタンスから、CPUやメモリに特化したタイプまで、様々なニーズに対応。
EC2は、ウェブアプリケーションのホスティング、データ処理、データベースの運用など、幅広い用途に活用されています。
3. Amazon EC2の主なメリット
1. 柔軟性と拡張性
Amazon EC2は必要に応じてリソースを増減させることが可能です。例えば、ウェブサイトへのアクセスが増加した場合でも、簡単にサーバーの能力を拡張できるため、サービスの停止を避けながらスムーズな運用ができます。
また、リソースが過剰な場合にはインスタンスを縮小することで、無駄なコストを削減できます。
2. コスト効率
EC2の特徴の一つは、従量課金制であることです。物理サーバーを購入する場合、初期費用がかさむ上に、運用コストも固定化しますが、EC2では必要な時に必要なリソースを利用するだけで済むため、初期コストを抑えつつ、使用量に応じたコストで運用できます。
3. セキュリティ
AWSはクラウドセキュリティに非常に力を入れており、EC2もその恩恵を受けています。データセンター自体の物理的なセキュリティ対策はもちろん、仮想サーバーのレベルでもネットワークセキュリティ、アクセス制御などの高度なセキュリティ機能を簡単に設定できます。
4. グローバルな展開
Amazon EC2は世界中に複数のデータセンター（リージョン）を持っているため、グローバル展開を目指すプロジェクトでもローカルに近いデータセンターを利用することで、ユーザーにとって快適なパフォーマンスを提供できます。
4. Amazon EC2の基本的な使い方
ここでは、実際にAmazon EC2を利用して仮想サーバーを作成し、運用するまでの流れを簡単に説明します。
ステップ1: AWSアカウントの作成
まず、AWSにサインアップしてアカウントを作成します。AWSでは無料利用枠が提供されており、EC2のインスタンス（サーバー）を一定期間無料で利用することができます。これにより、初心者でも安心してサービスを試すことができます。
ステップ2: EC2インスタンスの作成
次に、AWSコンソールからEC2の管理画面にアクセスし、「インスタンスを起動」ボタンをクリックします。ここでは、インスタンスタイプ（サーバーのサイズや性能）を選択します。初心者には、無料利用枠の対象である「t2.micro」インスタンスを選ぶことをおすすめします。
ステップ3: インスタンスの設定と起動
セキュリティグループ（ファイアウォールの設定）やキーペア（SSH接続用の鍵）を設定した後、インスタンスを起動します。この作業は数分で完了し、その後インスタンスにリモート接続して実際にサーバーとしての運用を開始できます。
ステップ4: インスタンスの停止・終了
インスタンスを利用し終えたら、停止または終了することを忘れないようにしましょう。リソースを使い続けると、使った分だけ料金が発生するため、不要なインスタンスを解放することでコストを抑えることができます。
5. 料金体系とコスト最適化のポイント
Amazon EC2は、複数の料金体系があり、用途やニーズに応じて最適なプランを選べます。
オンデマンド料金
使った分だけ料金が発生する「オンデマンドインスタンス」が最も一般的です。これは、柔軟な利用を必要とする場合に最適で、短期間での利用や予測が難しいケースに向いています。
スポットインスタンス
「スポットインスタンス」は、AWSの未使用のリソースを利用する方法で、オンデマンドに比べてコストを大幅に削減できる可能性があります。ただし、AWSの状況に応じて停止されるリスクがあるため、継続的な運用には向きません。
予約インスタンス
長期にわたって安定的に利用する場合には、「予約インスタンス」を購入することで、コストを抑えつつ安定したリソースを確保できます。1年、3年単位で契約するため、長期的な計画が立てられているプロジェクトには最適です。
まとめ
Amazon EC2は、スケーラブルでコスト効率の良いクラウドサーバーを提供しており、初心者でも簡単に利用を開始できるのが大きなメリットです。クラウドインフラの導入を考えている方は、まず無料利用枠を使ってEC2を試してみましょう。使い方をマスターすることで、プロジェクトの効率化やコスト削減を図ることができます。
